
マウスピース矯正の注意点
マウスピース矯正は装置が透明で目立ちにくいなどのメリットがあるため、マウスピース矯正を希望する人も少なくないでしょう。しかし中には、希望の歯並びにならないということもあります。そこで今回は、マウスピース矯正が上手くいかない原因や失敗しないためのポイントについてご説明いたします。
マウスピース矯正の失敗例
マウスピース矯正による上手くいかないケースには、主に以下のようなものが考えられます。
マウスピース矯正の失敗例「正中のズレ」
歯並びの中心線である正中にズレが生じている場合、奥歯の噛み合わせや上下の顎もズレている可能性があり、口元が左右非対称になると考えられます。正中にズレが生じていると審美的に違和感があるため、失敗と感じるでしょう。
マウスピース矯正の失敗例「噛み合わせ」
マウスピース矯正の治療期間が終わっても気になっている歯並びが治らない場合には、失敗となるでしょう。また歯科医師からは治ったと言われた場合でも患者さん本人が納得していない、または気になる部分は治っても他の部分で噛み合わせが悪くなった、という場合などは失敗といえるでしょう。
マウスピース矯正の失敗例「顎の痛み」
審美的には歯並びが改善された場合でも、正しい噛み合わせになっていないこともあります。悪い状態の噛み合わせを放置していると、顎の痛みや頭痛、肩こりなど、体のさまざまな部位に影響する場合があるため、早めに歯科医師へ相談しましょう。
マウスピース矯正 失敗の原因
マウスピース矯正に失敗してしまう原因には、主に以下の2通りが考えられます。
マウスピース矯正失敗の原因「歯科医師の問題」
マウスピース矯正を成功させるためには、歯科医師が患者さんの歯並びが適応症例なのかを診断することが大切です。マウスピース矯正で最も広く使用されているインビザラインは、これまでに世界中で800万人以上の患者さんが治療を受けてきました(2020年1月時点)。
しかし従来のワイヤー矯正などと比較した場合、国内でマウスピース矯正による治療をしている人はまだ多くないといわれています。症例数がそれほど多くないこともあり、歯科医師によって技術に差が生まれているのも事実でしょう。
またマウスピース矯正は治療計画に基づき、主にデジタル技術を用いて製作されたマウスピースを定期的に交換しながら矯正していく治療法です。治療の途中で思うように歯が動かないなど、計画通りに進まなくなる場合は歯科医師が計画を立て直しますが、歯科医師に十分な知識や技術がない場合、治療自体が上手くいかなくなる可能性があります。費用面だけでなく、経験や実績のある歯科医師を選ぶようにしましょう。
マウスピース矯正失敗の原因「患者側の問題」
マウスピース矯正は透明のマウスピースを装着し続けて矯正していく治療法で、さまざまな種類があり、装着時間もそれぞれ異なります。治療が完了するまでにある程度時間がかかるため、毎日決められた時間装着することを忘れてしまう、面倒になってしまうケースもあります。基本的にマウスピース矯正は食事や歯磨きの時間以外、一日を通してマウスピースを装着し続ける必要があります。期待した効果を得るためには、決められた時間マウスピースを装着するようにしましょう。
マウスピース矯正で失敗しないために
マウスピース矯正で失敗しないための大切なポイントには、主に以下のようなものが考えられます。
マウスピース矯正のポイント「適応症例」
マウスピース矯正は全ての歯並びを矯正できるわけではありません。マウスピース矯正の代表格であるインビザラインの場合、いわゆる出っ歯や八重歯、上の歯よりも下の歯が前に出ている受け口などは適応症例とされます。一方、顎変形症など、外科手術が必要とされる場合やむし歯や歯周病で歯の状態がよくない場合には治療ができないと考えられます。治療開始前に担当医と相談しながら、自分の歯並びはマウスピース矯正の適応症例なのかをしっかり把握しておくことが大切です。
マウスピース矯正のポイント「装着時間」
マウスピース矯正は、患者さん自身が毎日マウスピースを装着し続けなければいけません。マウスピース矯正の種類によっては、一日20時間以上の装着が推奨されているものもあります。決められた装着時間を守るようにしましょう。
マウスピース矯正のポイント「口腔ケア」
マウスピース矯正は常にマウスピースを装着しているため、むし歯や歯周病になるリスクが上がると考えられています。起床後、就寝前、食後の歯磨きは丁寧に行い、口腔ケアをしっかり行いましょう。またマウスピースを装着した状態でお茶やコーヒーなどを飲んだ後は、うがいをしてできるだけ口腔内を清潔に保ちましょう。
マウスピース矯正のポイント「通院」
マウスピース矯正は、数週間ごとに新しいマウスピースへ取り替える必要があります。必ず受診するようにし、マウスピース矯正中に噛み合わせの違和感が生じているなど、困ったことがあれば担当医へ相談するようにしましょう。
マウスピース矯正 失敗への対処
マウスピース矯正が上手くいかなかったときの対処法として、主に以下のようなものが考えられます。
マウスピース矯正失敗時の対処「受診」
マウスピース矯正が予定通り進んでいない、治療後にそれまでなかった噛み合わせの痛みなどがある場合、まずは担当医を受診して失敗の原因や今後の治療などについて、しっかり説明を受けましょう。これまでの経緯や現在の状況を自分自身がしっかりと把握することにより、転院やセカンドオピニオンの際に新しい歯科医師へ情報を伝えることができ、適切なアドバイスにもつながります。
マウスピース矯正失敗時の対処「セカンドオピニオン」
歯科医によって経験や治療方針などが異なります。マウスピース矯正の治療中であっても、治療方法や方針に不安などがある場合には、他の歯科医院でセカンドオピニオンを受けてみることをおすすめします。セカンドオピニオンを受ける場合、矯正の専門医など、より矯正に詳しい歯科医師に相談するといいでしょう。
マウスピース矯正失敗時の対処「他の治療法の検討」
マウスピース矯正に失敗した場合、クリニックによっては経過観察といって治療をしないケースもあります。転院や再治療の際はこれまでの経緯など、詳しい情報が必要です。十分な情報を得るため、担当医の説明をしっかり受け、疑問点などはその場で解決するようにしましょう。またマウスピース矯正は万能な治療法ではないため、場合によってはワイヤー矯正など他の治療法を検討することもあります。歯科医師と相談の上、今後の治療方針について納得してから治療を進めるようにしましょう。
マウスピース矯正の歯科医院選び
マウスピース矯正治療開始前には、口コミなどを参考にいくつかのクリニックを決め、実際にカウンセリングを受けてみましょう。口コミだけではわからないクリニックの雰囲気や先生の印象などを肌で感じることができます。その際、歯並びに関する悩みや費用面の不安、マウスピース矯正の種類や治療方法など、気になることはなんでも相談してみましょう。
複数のクリニックでカウンセリングを受けることにより、それぞれのクリニックの治療方針や施術内容をはじめ、クリニックの雰囲気や先生との相性なども知ることができ、さまざまな視点でクリニックを比較し検討することができるでしょう。
契約内容や見積もりもしっかり確認しておくと、トラブル防止につながります。マウスピース矯正は歯科医師の技術不足、患者さんの取り組む姿勢などによって結果が大きく左右されます。信頼できるクリニックを選び、マウスピースの装着時間を守るなど、治療にしっかり取り組むことも大切です。
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